
パーキンソン病とともに暮らしていると、歩き始めに足が出にくい、転びそうになる、食事や睡眠が気になるなど、日々さまざまな困りごとが生じます。また、医療費助成や介護保険、障害者手帳、障害年金など、利用できる可能性のある制度も複数あります。このページでは、毎日の工夫と制度の基本を項目ごとにまとめました。
症状への対応は一人ひとり異なります。安全を優先し、無理のない方法を主治医やリハビリ専門職と相談してください。
すくみ足とは、歩こうとしているのに足が床に貼り付いたようになり、最初の一歩が出にくくなる症状です。歩き始め、方向転換、狭い場所、ドアを通るとき、目的地へ近づいたとき、急いだときなどに起こりやすくなります。
介助する方は、腕を急に引っ張らず、ご本人が落ち着いて歩き出すのを待ちましょう。立つ位置や声のかけ方は、理学療法士から実際に指導を受けると安心です。
パーキンソン病では、歩幅が小さくなる、方向転換が難しい、姿勢を立て直しにくい、立ちくらみがあるなど、複数の要因が重なって転倒しやすくなることがあります。
杖や歩行器は、種類や使い方が合わないとかえって危険になることがあります。主治医、理学療法士、福祉用具専門相談員などに評価してもらいましょう。
リハビリは、現在の動きや生活を保ち、転倒や体力低下を防ぐための大切な治療の一つです。症状が軽い時期から、無理なく継続することが重要です。
散歩、ストレッチ、姿勢を起こす運動、バランス練習などを、体調に合わせて日課にします。薬が効いて動きやすい時間帯を活用し、疲労や痛みが残るほど無理をしないことが大切です。
特別な食事だけでパーキンソン病を治すことはできません。基本は、主食・主菜・副菜を組み合わせたバランスのよい食事と、適切な水分補給です。体重減少や便秘にも注意しましょう。
レボドパ製剤を服用している一部の方では、たんぱく質の多い食事が薬の吸収や効き方に影響する場合があります。しかし、たんぱく質は体を保つために必要です。自己判断で制限したり服薬時間を変更したりせず、主治医や管理栄養士に相談してください。
誤嚥性肺炎は、食べ物、飲み物、唾液などが誤って気管へ入り、細菌とともに肺へ達することで起こる肺炎です。パーキンソン病では飲み込みや咳の力が弱くなり、むせが目立たないまま誤嚥する「不顕性誤嚥」が起こることもあります。
眠気の強いときや姿勢が崩れた状態で食べず、落ち着いて一口ずつ食べます。食後を含む丁寧な口腔ケアも大切です。食形態、とろみ、食事姿勢は状態によって異なるため、言語聴覚士、歯科医師、管理栄養士などの評価を受けてください。
パーキンソン病では、寝つきにくい、夜中に何度も目が覚める、寝返りが難しい、夜間頻尿、日中の強い眠気など、さまざまな睡眠の問題がみられます。夢の内容に合わせて大声を出したり手足を動かしたりする「レム睡眠行動障害」や、睡眠時無呼吸症候群などが関係することもあります。
夜間の動きにくさ、薬の副作用、気分の落ち込みなどが原因になっている場合は、治療の調整で改善する可能性があります。睡眠薬や抗パーキンソン病薬を自己判断で変更しないでください。
制度は病名だけで自動的に適用されるものではなく、年齢、加入している保険、障害の状態、所得、居住地などによって利用条件が異なります。
パーキンソン病の方が利用できる可能性のある主な制度には、次のようなものがあります。すべての制度が同時に利用できるとは限らないため、市区町村の窓口や医療ソーシャルワーカーへ早めに相談しましょう。
パーキンソン病という診断名だけで身体障害者手帳が交付されるわけではありません。手足や体幹、音声・言語・そしゃくなどの機能障害が認定基準に該当し、その障害が永続すると見込まれる場合に、交付の対象となる可能性があります。
等級は、病名や介護の大変さだけではなく、客観的な機能障害と日常生活上の制限を基に判定されます。交付後に利用できる医療費助成、税の控除、補装具、交通・施設の割引などは、等級や自治体によって異なります。
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事が一定以上制限される場合に、現役世代も受け取れる可能性がある公的年金です。パーキンソン病も、障害の状態や受給要件を満たせば対象となる可能性があります。
初診日に国民年金へ加入していた方などは障害基礎年金、厚生年金へ加入していた方は障害厚生年金が基本になります。審査では診断書だけでなく、「病歴・就労状況等申立書」などを通じて、歩行、着替え、食事、通院、家事、仕事など、日常生活や就労の具体的な制限が確認されます。
ご注意:このページは一般的な情報をまとめたもので、個別の診断や治療、制度の認定を保証するものではありません。薬を自己判断で増減・中止せず、症状に応じて主治医、薬剤師、リハビリ専門職などへご相談ください。制度の内容・基準・窓口は変更されることがあるため、申請時にお住まいの自治体や関係機関で最新情報をご確認ください。(制度情報:2026年7月確認)