お役立ち情報
アイウエオ
カキクケコ

パーキンソン病
暮らしのお役立ち情報

パーキンソン病とともに暮らしていると、歩き始めに足が出にくい、転びそうになる、食事や睡眠が気になるなど、日々さまざまな困りごとが生じます。また、医療費助成や介護保険、障害者手帳、障害年金など、利用できる可能性のある制度も複数あります。このページでは、毎日の工夫と制度の基本を項目ごとにまとめました。

日常生活を整える

症状への対応は一人ひとり異なります。安全を優先し、無理のない方法を主治医やリハビリ専門職と相談してください。

すくみ足

すくみ足とは、歩こうとしているのに足が床に貼り付いたようになり、最初の一歩が出にくくなる症状です。歩き始め、方向転換、狭い場所、ドアを通るとき、目的地へ近づいたとき、急いだときなどに起こりやすくなります。

足が止まったときの工夫

  1. 無理に前へ進もうとせず、いったん止まります。
  2. 息を整え、背筋を起こして左右の足にゆっくり体重を移します。
  3. 「1、2」「右、左」と声を出す、手拍子や一定のリズムに合わせるなど、歩くきっかけをつくります。
  4. 床の線やタイルの境目をまたぐように、最初の一歩を大きめに出します。

介助する方は、腕を急に引っ張らず、ご本人が落ち着いて歩き出すのを待ちましょう。立つ位置や声のかけ方は、理学療法士から実際に指導を受けると安心です。

記録しておきたいこと: すくみ足が起きた時刻、場所、服薬からの経過時間、転びそうになった回数をメモすると、薬やリハビリの調整に役立ちます。
転倒防止

パーキンソン病では、歩幅が小さくなる、方向転換が難しい、姿勢を立て直しにくい、立ちくらみがあるなど、複数の要因が重なって転倒しやすくなることがあります。

住まいの安全確認

  • 床の敷物、電気コード、新聞や荷物など、つまずく物を減らす
  • 廊下、玄関、トイレ、夜間の移動経路を明るくする
  • 浴室やトイレへ手すりを設置し、滑り止めを使用する
  • かかとが安定し、脱げにくい靴を選ぶ
  • 急な方向転換や、歩きながら別の作業をすることを避ける

杖や歩行器は、種類や使い方が合わないとかえって危険になることがあります。主治医、理学療法士、福祉用具専門相談員などに評価してもらいましょう。

医療機関へ相談する目安: 転倒が増えた、頭を打った、強い痛みや腫れがある、立ち上がれない、意識や様子がおかしい場合は、早めに医療機関へ相談してください。緊急性が高いと感じる場合は救急要請を検討してください。
リハビリ

リハビリは、現在の動きや生活を保ち、転倒や体力低下を防ぐための大切な治療の一つです。症状が軽い時期から、無理なく継続することが重要です。

専門職が支援できること

  • 理学療法士:歩行、姿勢、バランス、筋力、すくみ足や転倒対策
  • 作業療法士:着替え、入浴、家事、仕事、手先の動作、住環境の工夫
  • 言語聴覚士:声の小ささ、話しにくさ、飲み込みの評価と練習

続けやすくする工夫

散歩、ストレッチ、姿勢を起こす運動、バランス練習などを、体調に合わせて日課にします。薬が効いて動きやすい時間帯を活用し、疲労や痛みが残るほど無理をしないことが大切です。

大切な考え方: 同じ運動がすべての方に適しているわけではありません。転倒歴、心臓や関節の病気、血圧なども含めて、主治医やリハビリ専門職に運動内容を確認してください。
食事

特別な食事だけでパーキンソン病を治すことはできません。基本は、主食・主菜・副菜を組み合わせたバランスのよい食事と、適切な水分補給です。体重減少や便秘にも注意しましょう。

毎日の食事で意識したいこと

  • 時間に余裕を持ち、姿勢を整えてゆっくり食べる
  • 便秘対策として、水分や食物繊維を無理のない範囲で取る
  • 食欲低下や体重減少がある場合は、少量でも栄養を取りやすい方法を相談する
  • むせや飲み込みにくさがある場合は、食べ物の形や硬さを専門職に評価してもらう

レボドパ製剤を服用している一部の方では、たんぱく質の多い食事が薬の吸収や効き方に影響する場合があります。しかし、たんぱく質は体を保つために必要です。自己判断で制限したり服薬時間を変更したりせず、主治医や管理栄養士に相談してください。

相談したい変化: 急な体重減少、脱水、食事量の低下、便秘の悪化、薬が食後に効きにくいと感じる場合は、診察時に伝えましょう。
誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)

誤嚥性肺炎は、食べ物、飲み物、唾液などが誤って気管へ入り、細菌とともに肺へ達することで起こる肺炎です。パーキンソン病では飲み込みや咳の力が弱くなり、むせが目立たないまま誤嚥する「不顕性誤嚥」が起こることもあります。

気づきたいサイン

  • 食事中や食後にむせる、咳が出る
  • 食後に声がガラガラ、ゴロゴロした感じになる
  • 食事に時間がかかる、口の中に食べ物が残る
  • 原因の分からない発熱や痰が増える
  • 食事量が減る、体重が落ちる

予防の基本

眠気の強いときや姿勢が崩れた状態で食べず、落ち着いて一口ずつ食べます。食後を含む丁寧な口腔ケアも大切です。食形態、とろみ、食事姿勢は状態によって異なるため、言語聴覚士、歯科医師、管理栄養士などの評価を受けてください。

早めの受診が必要な症状: 発熱、息苦しさ、呼吸が速い、強いだるさ、意識の変化などがある場合は、速やかに医療機関へ相談してください。
睡眠

パーキンソン病では、寝つきにくい、夜中に何度も目が覚める、寝返りが難しい、夜間頻尿、日中の強い眠気など、さまざまな睡眠の問題がみられます。夢の内容に合わせて大声を出したり手足を動かしたりする「レム睡眠行動障害」や、睡眠時無呼吸症候群などが関係することもあります。

生活の中でできること

  • 起床時刻をなるべく一定にし、朝は日光を浴びる
  • 日中に無理のない運動や活動を取り入れる
  • 夕方以降の長い昼寝、カフェイン、飲酒を控える
  • 夢に伴う動きがある場合は、寝室の硬い物や危険物を減らす
  • 睡眠日誌をつけ、夜間症状や服薬との関係を記録する

夜間の動きにくさ、薬の副作用、気分の落ち込みなどが原因になっている場合は、治療の調整で改善する可能性があります。睡眠薬や抗パーキンソン病薬を自己判断で変更しないでください。

安全のために: 日中に突然眠り込む、運転中に眠気を感じる、睡眠中の激しい動きで本人や家族がけがをする場合は、運転を控え、早めに主治医へ相談してください。

支援制度を知る

制度は病名だけで自動的に適用されるものではなく、年齢、加入している保険、障害の状態、所得、居住地などによって利用条件が異なります。

利用できる制度

パーキンソン病の方が利用できる可能性のある主な制度には、次のようなものがあります。すべての制度が同時に利用できるとは限らないため、市区町村の窓口や医療ソーシャルワーカーへ早めに相談しましょう。

主な制度・支援

  • 特定医療費(指定難病)助成制度:重症度などの基準を満たす方、または軽症でも一定以上の医療費が続く方が対象となる場合があります。申請には難病指定医が作成する臨床調査個人票などが必要です。
  • 高額療養費制度:1か月の医療費の自己負担が一定額を超えた場合、超過分が支給される制度です。加入している医療保険へ確認します。
  • 介護保険:65歳以上は原因を問わず、要支援・要介護認定を受けた場合に利用できます。40歳から64歳の医療保険加入者も、パーキンソン病などの特定疾病が原因で要支援・要介護状態となった場合は対象になる可能性があります。
  • 障害福祉サービス:居宅介護、短期入所、就労支援、補装具などを利用できる場合があります。対象となる難病では、身体障害者手帳がなくても申請できる場合があります。
  • 指定難病登録者証:医療費助成の対象とならない方を含め、指定難病の患者であることを障害福祉サービス等の申請時に証明するために使える制度です。
最初の相談先: お住まいの市区町村の難病・障害福祉・介護保険担当窓口、地域包括支援センター、病院の医療ソーシャルワーカー、難病相談支援センターなどです。領収書、診療明細書、服薬情報、困っている生活動作のメモを用意すると相談が進みやすくなります。
身体障害者手帳

パーキンソン病という診断名だけで身体障害者手帳が交付されるわけではありません。手足や体幹、音声・言語・そしゃくなどの機能障害が認定基準に該当し、その障害が永続すると見込まれる場合に、交付の対象となる可能性があります。

申請のおおまかな流れ

  1. 主治医へ、現在の機能障害が手帳の対象になり得るか相談します。
  2. 市区町村の障害福祉窓口で申請書と指定様式の診断書を受け取ります。
  3. 身体障害者福祉法第15条の指定医師に診断書を作成してもらいます。
  4. 必要書類を窓口へ提出し、自治体の審査を受けます。

等級は、病名や介護の大変さだけではなく、客観的な機能障害と日常生活上の制限を基に判定されます。交付後に利用できる医療費助成、税の控除、補装具、交通・施設の割引などは、等級や自治体によって異なります。

障害年金とは別制度です: 身体障害者手帳を持っていても障害年金が必ず受給できるわけではなく、手帳がなくても障害年金を受給できる場合があります。それぞれ別に相談・申請が必要です。
障害年金

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事が一定以上制限される場合に、現役世代も受け取れる可能性がある公的年金です。パーキンソン病も、障害の状態や受給要件を満たせば対象となる可能性があります。

確認される主な要件

  • 初診日:原因となった病気で初めて医師の診療を受けた日
  • 保険料の納付状況:初診日の前日時点で所定の納付要件を満たしていること
  • 障害の状態:原則として初診日から1年6か月を過ぎた障害認定日、またはその後に、法令で定める障害状態に該当すること

初診日に国民年金へ加入していた方などは障害基礎年金、厚生年金へ加入していた方は障害厚生年金が基本になります。審査では診断書だけでなく、「病歴・就労状況等申立書」などを通じて、歩行、着替え、食事、通院、家事、仕事など、日常生活や就労の具体的な制限が確認されます。

準備しておくとよいもの

  • 最初に受診した医療機関名と受診時期が分かる資料
  • 症状と生活上の困りごとの経過を時系列にしたメモ
  • 通院歴、入院歴、休職・退職・勤務配慮などの記録
  • 年金番号が分かるもの
早めの相談がおすすめです: 初診日の確認や診断書の準備に時間がかかる場合があります。お近くの年金事務所、市区町村の年金窓口、街角の年金相談センターへ、申請前に相談してください。必要に応じて、障害年金に詳しい社会保険労務士へ相談する方法もあります。

ご注意:このページは一般的な情報をまとめたもので、個別の診断や治療、制度の認定を保証するものではありません。薬を自己判断で増減・中止せず、症状に応じて主治医、薬剤師、リハビリ専門職などへご相談ください。制度の内容・基準・窓口は変更されることがあるため、申請時にお住まいの自治体や関係機関で最新情報をご確認ください。(制度情報:2026年7月確認)